Faint heart never won fair lady.~恋は強気で~

こちらはボーイズラブ関連の二次創作となります。
関心ない方、お子様は閲覧なさらぬようお願い申し上げます。

先日のFu女子会(ぼたんさん命名)での会話で私の「村正さんは叶わない恋が似合う」発言を、皆さんが笑って見守って下さった事に気を良くし。

御礼SSのつもりで妙な作文書いたんですけど、どうにも全回見てないので、設定やら口調やらがイマイチ判らず…直しますのでダメ出し下さい。<大失礼だろ、他ファンの方も乞う校正

TIGER & BUNNYより、村正と虎徹の兄弟会話。
全一回。<微兎虎風味



では、よろしかったらこちらから
     ↓



「Faint heart never won fair lady.~恋は強気で~」



オリエンタルタウンのとある商店街の一角にある酒屋、鏑木酒店。

お世辞にも流行ってるとは言えねぇ、最近では隣町に出現した巨大ショッピングモールの煽りで、今にもおっ潰れそうなこの店が、俺の実家だ。

親爺とお袋で始めたこの小さい店を、律儀に兄貴が継いでくれているお陰で、俺のふるさとは今でもココにある。

(あれ…こんな夜更けに…誰だぁ?)

フラリと帰郷した俺は、店の前に人影を見つけて驚き、立ち止まった。

ショット・バー、なんて小洒落たもんとはかけ離れてるが、小さな利き酒のカウンターを併設している店の営業時間はやたらと長い。

まぁ酔った客がこの時間まで居たとしても不思議じゃないが…

長い前掛けをした兄貴が、続いて店から出て来て、何かを話しかけているように見える。

通り過ぎる車のライトが、二人を照らし出した途端。

俺は何故か見てはならないモノを見てしまったような気がして、反射的に物陰に身を隠した。


(フゥ、驚かせんなって…)


そう、兄貴の隣に居たのは、女、だった。
しかも綺麗な長い黒髪の…

(兄貴のヤツ、隅に置けねぇ、つか、もしかしてもう付き合ってんのかよオイ…)

俺に内緒で、水臭せぇったらねーの、ここは結婚の先輩でもある無敵のヒーロー、ワイルド・タイガーに相談しねーでどうすんだ!

と、鼻息荒く出て行こうとした時。

二人の陰が重なるように近づき、背中を向けた女の肩に兄貴の不器用な手が掛かった。


いや正確には掛かろうとしていた。

あと、数センチ…いや数ミリ、で触れるその直前に、兄、村正の手は固まり、小さく震えるように何かを堪え…

やがてダラリ、と身体の両脇へと垂れ下がった。

歩き出した女は、まっすぐに通りの反対側へと向かい、やがて闇に紛れて見えなくなる。


(ン、何だよアニキの奴、情けねぇ!それでも男か!)


俺は憤慨しつつも、隠れて見ていた事を気取られぬよう、わざと後から大きな足音を立てて店へと入って行った。


「虎徹、こんな時間にどうした?また何か、悩み事でもあるんじゃねぇだろな?」


カウンターに座ると、もうさっきの顔とは大違いな、いつもの兄貴がそこにいる。


「まぁ、悩みって程のモンでもないさ、いつもの気紛れ、たまには兄弟水入らずで酒でも呑もうと思ってさ!」

「バァカ、俺はそんな暇人じゃねぇ、一杯呑んだらさっさと帰れよ、このぐうたらヒーローめ」

俺はここへ来た本当の理由は言わぬまま、差し出されたグラスの吟醸酒をグイ、と煽った。


「ぐうたらなのはお互い様…つか、マジで兄貴の方じゃねぇの?」

「ハァ?いきなり何を言い出すんだコイツ」

「ならさっきの謎の美女は誰だっつんだよ…しかも、いかにもワケあり、って感じでさ…何、言ってみろって、不倫なら相談乗ってやるぜ」

「虎徹…クソっ…見てやがったのかこの野郎っ!」

カウンター越しのパンチを余裕で受け流し、いつもと形勢逆転した兄弟喧嘩が始まるかに見えたその時。

フゥ…と、煙草の煙を吐いて、兄貴の村正が小さく頭を振って目を閉じた。


「別に不倫でも何でもねぇよ、アイツはお前も知ってる女だ、俺の高校の同級生、美月だよ」

「おお、あのミス・オリエンタルタウンの!実家だってすぐ近所だったよなぁ、俺、憧れてたから覚えてるよ!兄貴の片思い、初恋の相手って彼女だろ?確か外国に留学したままそっちで結婚したって噂を、お袋が聞いて来たような…」

「ああ、そうだ、よく覚えてるな」

「フフ、綺麗なオネェちゃんの話は忘れないのが男だろ!で今、彼女、里帰りかなんかか?」

「いや、こっちに帰国したんだと」

「へぇ、旦那も一緒に?」

「……いいや、去年、病気で亡くなったそうだ…丁度、一年前に…」

言ったあとに、しまった、と言わんばかりの唇が噛み締められる。

友恵の事を気にして、俺に気を遣っているのだろう。

身内の気遣いは嬉しいが、そんな事より、もっと聞きたいことが俺にはあった。

「いいムードだったじゃねぇか、ちょくちょく来てるんだろ、彼女」

「あぁ、たまに懐かしくなって、昔話をしにくる程度だよ…」


たわいもないことばかりだ…廊下の隅、ロッカーの前辺りでいつも話してた、16才の頃の夢や未来への希望、なんてもんを思い出して笑って、一杯飲んで…それで終わりだ…


最後は自分に言い聞かせるような、兄貴の口調が妙に切ない。

若者らしく、街を出て夢を叶えることもなく、ただ小さな街と店を這い回るようにあくせく働き、だが懸命生きて来た男の哀愁がそこにあった。


「彼女に、話したのか?その…兄貴の気持ちを、さ…ずっと好きだったんだろ?もちろん、今でも」

「そんな事はどうでもいい…お前には関係無いことだ…」

「関係ねぇってこたねーよ、弟だからな!お袋だっていつまでも兄貴と楓の世話も大変だろ、早いとこイイ嫁さんでも貰って楽させてぇとは思わねぇのかよっ!」

「それを言うなら、お前のせいだろっ!それでなくても営業危機の貧乏酒屋に、漏れなく姑、さらに小姑ならぬ弟の子まで付いてくる苦労なトコへ、誰が好き好んで嫁なんか来るかっ!」

「黙って聞いてりゃ何だとこの腰抜け野郎っ!」

「やるかぁ壊し屋、久しぶりに表出ろ表!」

「おう、望むところだ、ヒーロー舐めんなよ」

気づけばデコとデコをグリグリと突き合わせ、子供の喧嘩のような小競り合いをしている、いい年をした親爺が二人。
ウィンドーに映る滑稽な姿は、どうにもこっ恥ずかしい。


(フフ、ハハハッ、ハハ…)


「なぁもう、いい加減にしようぜ」

「あぁ、別に喧嘩しに来たんじゃねーのに、ついつい、ゴメンな」



子供時代と違うのは、案外あっさりドローで決着が付くとこくらいか。


残った酒を飲み干して、俺は最後に、お節介を一つ言いたくなった。


「あの手…を、さ…」

「手、って何だ?」

兄貴の首がチョイと傾いで、ワカラナイ、といった顔になる。

「帰る美月ちゃんの肩を、抱こうとして途中で止めただろ?アレ、あのまんま抱き締めりゃイイよ、まったく至極簡単!て、な」

「随分軽く言ってくれるなぁ…」

そういうと、淋し気な目がツイと伏せられ不意に斜めに上を見上げる。

「なぁ虎徹、いつぐらいに、その…大丈夫になるもんだ?人の心ってもんは」

いかにも聞き難い事を聞く、といった表情が、オヤジのくせに妙に可愛く見えるのが不思議で。

不意にツキン、と胸が痛んだ。

「いつ大丈夫になるかはわからんが、グズグズ待ってねぇで、こればっかりは自分で決めてやるしかねぇ!勇気を出して、目の前の幸せをしっかり抱くしかないんだよ」


そう言うと、俺は小さく笑って、こう続けた。


「それに案外、気分が良いもんだぜ」



不意に、こう、誰かに抱き上げられるってのもさ…


フフ、と笑った後に、ようやく帰って来た本当の理由を思い出す。


慌てて俺は息を整え、ポケットに忍ばせていたピンクの兎のストラップを目の前でユラユラと指で揺らしてみせた。


「コイツを兄貴にもやるからその前掛けの裏に隠していつでもぶら下げとけよ、恋に相当御利益あんだからな!で、もう一個のデカイのは楓に渡してやってくれ」


約束したんだ、ちゃんとみんなで幸せになるって。


俺の心の言葉が聞こえたのだろうか。

ピンクのバニーが指先で、頷くように小さく揺れた。



Fin.
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by apacheoffice | 2011-11-15 01:08 | 他作家様作品での創作 | Comments(4)
Commented by 季菜子 at 2011-11-15 06:29 x
引き続き、お邪魔致します~☆

そっかー 
どうも同居してるふうじゃないのに、何かっていうと実家に居るので、自分の家庭があるとは思えなかったんですけど…
村正兄さん、切ない恋を秘めてたんですねぇ…

でも、ここで虎徹が一肌脱ごうなんてお節介したら、むしろ壊し屋の本領発揮しちゃいそうで…(笑)
でもなぁ、大人な男が胸の奥深くに隠しながら、ふとした時に微かに零れる片恋って…くっはー 堪らないー!!!

成就して欲しいのか、否か、そんな妄想がますます愉しい物語を、ありがとうございます♪♪♪
Commented by apacheoffice at 2011-11-15 08:38
季菜子さま、こんなものを朝一番でお読み下さってありがとうございます。<うわわ~

「村正は絶対、不倫の恋してる!」だなどと妄暴言を吐いた私をお許し下さって嬉しかった!(^o^)
なので、実際、ではなく「心の…」ってことで、書いてみました。
住んでいるのは店の二階(ここが昔の実家、兄弟が育った家)、今は母親と楓ちゃんは近所に移ったのかな。なんだかもっとゆっくり書きたくなって困。
Commented by まるまる at 2011-11-15 22:51 x
うひゃーニヤニヤしましたわ~♪
頑張れ村正!

あぱっしゅさまもT&B好きなんですね。
グッズ求めに15年振りくらいにアニメイト行ったり
ライブビューイング見に行ったりしちゃいました(笑)
pixivとか巡回してると薄い本にも手を出すのもそう遠くないかも(;・∀・)ゞ
Commented by apacheoffice at 2011-11-16 00:17
まるまるさん

ライブビューイング!行かれたんですね。羨ましい~♪
私は薄い本は、何冊か読ませて頂いておりますが、商業作家さん達の圧巻のお仕事には目眩がしそうになりますよ~。
どれも愛が溢れてて…微笑ましいです。

あ、PIXVには私も、ここに上げてるのは一応上げてます。(^_^;)
(旬なジャンルってスゴイ~~、怖い~、ほえ~~~)
実は全話見てない素人なもんで、何かお気づきの点があれば教えてくださいね~。
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