名残の桜、ふたたびの
こちらはボーイズラブ作品の二次創作(ファンフィクション)となります。
関心ない方、お子様はくれぐれも閲覧なさらぬようお願い申し上げます。

c0197761_026427.jpg


今年から始めました企画、当事務所去年のお客様検索ワードランキングに勝手にお応えするコーナーの最終回。<もう終わりか!

栄えある第5位は「是-ze- 二次創作」って。
<みなさん読みたいのね

ちょうど今、本誌で連載終了しましたし(まだ単行本書き下ろしがあるけど)このタイミングでちょろっと書いてみました。で、あのラストなら、続きの脳内補完はやはりコレですよね。

是-ze- 玄間×氷見 
玄間氷見ですから…20禁で!<笑


では、よろしかったらこちらから


     ↓






◇ ◇ ◇




今夜あたりは名残の葉桜、花は吹雪と散りゆく頃か…


月も朧の夜空を見上げ、低いあがりまちに腰を降ろした氷見が、小さくひとつ、溜息を吐いた。


事務所に出る日以外は別段スーツを着ることもなく、こうして屋敷ではいつもの白いシャツ姿。
小さなボタンを律儀に上まで留め、黒いスラックスという質素な出で立ちが、かえって氷見の透き通るような肌の色を引き立てている。

人の形をした紙…紙様。
ただの「ひとがた」である身体は、主の傷を代わって受けるためだけに作られたものだ。

しかし、穏やか過ぎる夜の静寂の中では、そんなことすら忘れてしまいそうになる。

一人の夜なら尚更。
手持ち無沙汰な時間を過ごす手仕事もない男の身が恨めしい。
屋敷の広い玄関にこうして靴を並べては、一足一足時間をかけて大事に磨くくらいしかすることがないのだ。

男が無事に帰ってくる事を願いつつ、まずは全体に軽くブラシを掛け、尖ったトゥの部分から靴墨を薄くのばして塗り込める。

黒く柔らかな粘液が、そこだけ闇を落としたように氷見の持つネルのクロスに広がった。



「玄間…今夜はもう帰っては来ないのかも…」と、誰もいないのを良いことに、ポツリ、と独り言が出る。

主人(あるじ)玄間の帰りは、今夜も相変わらず遅い。

一緒に事務所で仕事が出来る日は良いが、最近では関東どころか日本全国に足を延ばしての取引きも多く、今日も契約の為、隆生と守夜を連れて朝早くから地方へと出掛けている。

「どんなに遠くてもかまいません、どうか私をお連れ下さい!」と、何度頼んでも聞き入れては貰えず、そんな日は夜まで一人寂しく、こうして主の帰りを待つしかない。

わかっている。

取引の相手がヤクザや、それまがいの危険な団体などの時にだけ、玄間が自分を置いてゆくことを。

そうして、弱みを握った悪徳業者にタダ同然で物件を投げさせ、それを手直ししては密かに暴力やら借金から逃げてきたワケありの母子を住まわせているらしいことも。

「売りモンにならない物件を遊ばせとくのもな…」と、冷たく言うだけの主に、彼らしい情の深さを感じ、氷見は心から嬉しく思うのだった。

荒っぽくて自分勝手で、でも確かに温かいと感じる。

そして、それを感じることが出来る自分は幸せなのだ、とも。


人の情けや肌の温もりがもがわかるように、ただの「紙人形」を作った和記は一体、何を思ってそうしたのだろう。






- - - - - - - - -





氷見の思考を遮るように、低いエンジン音が鳴り、程なくからからと木戸の引かれる音が聞こえた。


「お帰りなさい…っ、玄間」

玄関からまろび出て男の姿を見た途端、安堵の喜びに想いが溢れ、鼓動のない胸が痛くなる。
血の通わぬ肌までもが熱を帯びた気がして、氷見は思わず頬を抑えた。


「先に寝ておけと何度言ったら解る、帰るとも言わずに出たものを待っている必要はない」

「いいえそれは…お連れ頂けない日はせめてこうして、待つことだけでもお許しを…」

「てめぇはまだメンテナンスから帰ったばかりだ、あのいい加減な人形師にまたあっちこっち弄られやがって、身体に相当の無理が来たに決まってる!」


さっさと三和土を上がり、奥へと歩いてゆく大きな背中。
不機嫌そうに押し黙ったままの男が、脱いだ上着と緩めたタイを雑な仕草で畳へと投げ落とす。



自分は疲れて帰って来た主人を、怒らせてしまったのだろうか?
素直にハイと言わず、逆らうようなことを言ってしまったのが気に障ったのだろうか。


そう考えると、さっきまでの幸せな気分が月と共に黒雲に隠れ、じわじわと不安な気持ちが込み上げてくる。


わかってくれない。
いつでも、なにも。

自分の思いなど、いつ散ったのかも知られぬ桜。

いつ満ちたかも知られずにいる、今宵の夜空の月と同じだ…


玄間は私の「心」など、どうせ見てはくれないのだと。


落とされたスーツを身を屈めるようにして、氷見が胸に抱き締める。
その様に背を向けたまま、独り言のように玄間がつぶやいた。



「そいういやここんとこずっと、お前を置いて外を飛び回ってばかりだったな…今年は忙しくて、桜も見せてやれねぇ…」

「玄間…」

暖かい夜風がブワリ、と障子を鳴らして吹き抜ける。

男の足下に額づいたまま、氷見が静かな声で応えた。


「お花見、でしたらここ数日、毎日させて頂いています」

「はぁ?氷見、お前、俺の言いつけ守らず、まさか留守に一人で外をほっつき歩いているんじゃねぇだろうなっ?!」

「いいえ、いいえ違います…こうして家におりましても、毎晩、貴方が私の腕にお渡し下さる上着の背中に、必ず薄い花びらが付いて参りますので」


そっと差し出す指先に、ひとひらの花びらがついて、小さく白く光っている。


「てめぇまさか、そんなもんで花見をした気分になって…」

振り向いた玄間の形相に、氷見がフワリと笑って見せた。


「ええ、去年お連れくださった宿の露天風呂で眺めた桜もそれはそれは綺麗でしたが、私にとってはこうして、貴方の背に降るひとひらの花びらこそが一番美しいと感じます、そして、貴方とともにどこへでもゆける、その花びらが羨ましいと…」


「氷見…」


俯く白い頬が青白い月の明かりに照らされている。
玄間がグッと唇を噛み、細い肩を強く掴んで立ち上がらせた。


「チッ、このクソったれが…人の気も知らねぇで勝手な事ばっかり言いやがって」

忌々しげにそう言うと、大きな足音を響かせてさっさと寝所へと入ってしまった。

ほどなく開いた襖の向こうから怒鳴り声が聞こえてくる。


「氷見、何してる、今すぐ酒を持って来い!今夜は家で花見だ」

「玄間、あの…花見と言われましても、お屋敷の桜は貴方が紙吹雪を思い出すと仰って、すべて切らせたと前に庭師から聞きました」

慌てて入って来た氷見に、玄間が顎を上げ、しれっと応える。


「別に、構わねぇ」

「え?」

不意に玄間の手が伸びて、薄いシャツの上から両の乳首を強く捻った。

「玄間、あっ、痛っ…何を、あああっ!」

「さっさと脱げよ俺の見たい花はコレだ…服を着ていちゃ見えねぇからな、ここで全部脱いでから、素っ裸で、酒と肴を運んで来い」

「あの、いくらなんでも、は、裸では…」

「家ン中じゃどうしようが俺の勝手だ、お前は服なんぞ着なくていいんだよ!酒はいつでも用意してあるはずだ、エプロンしろとまでは言わねぇから、裸で酒の相手をするくれぇいいだろ」

不敵な笑いの浮かぶ口元が恐ろしくて身が竦む。

そして、男の目に宿る、いつもの我が儘とは違った、何か縋るような眼差しに、心が何故かツキッと痛んだ。



「今、お持ちします…服も全部、ここで脱ぎますから…」




- - - - - - - -




ちゅううっ…んっ…

あ…


「ずいぶん綺麗に咲いて来た…毛細血管があるわけでもないのに、ちゃんと吸えば赤くなるんだから面白れぇ…和記のやつ、ったく何考えてんだ…」

くちゅ、と吸い切る瞬間に派手な音を立てるのも、羞恥を煽る男の企み。

それとわかっていても、もうどうすることもできず、氷見はただ身を固くして、震えているしかなかった。


塗りの酒器から杯へと注いだ酒を玄間がゆっくりと飲み干し、そのたび返杯をこちらへと押しつける。

人のように食べることも、呑むこともない紙の私に、形ばかりのままごとをさせるつもりなのだろうか?


「氷見、呑めない代わりにその杯をお前のイイトコロに充てろ、そうすればソコをたっぷり吸って…俺がお前を、呑んでやる」


耳元で囁く玄間の声は、いつも艶めいて、でも子供のように悪戯で、低く甘く、胸を締め付ける。

苦しいけれど、囚われていたい。
何があっても言われるまま、この男の為なら何でもしたいとさえ思ってしまう。
たとえそれが、どんなことであっても、だ。


「さぁ、何処がいい?最初は首か鎖骨、ってとこか…桜の木より沢山の花びらを咲かせてやるよ」

そう言いながら、濡れた小さな杯で、感じやすい部分に酒を零しては、じゅるり、と舌で吸い上げる。

「そ、そのようなことは、な、なさらなくても…」

「ン嫌か?ひとひらの花を愛でる風流を自分だけとは思うなよ、俺にも花見をさせろって」

焦れた舌先が乳首を掠め、ゾクゾクとした快感が全身を駆け巡った。

「フフ、やっぱ、お前はココが好き、か」

「イヤです…吸わな…ああっ!」

「氷見、昔から花宴の席は無礼講だ、布団の上で酒を呑むのも、こうして裸で乳繰り合うのも遠慮はいらねぇ…もっと力を抜いて、うんと楽しんでいいんだぜ」

「私は…楽しくなんかありません…あのこれ以上、は、はしたないことをするのは…どうか…勘弁してください」

隣で膝も崩さず裸のまま酌をする氷見に、上機嫌の玄間が悪戯な手を伸ばす。

「ふうん、でも乳首吸われただけで完勃ちってのは充分お前も楽しんでる証拠だ、ハハッ、揃えたまんまの膝の間からこんなもんが元気になってちゃ、いくらなんでもヤラシ過ぎじゃねぇのか、ん?」

玄間の指が面白がって、浮き出た先走りの露を掬い、見えるようにわざとクルクルと小さな亀頭に塗り広げた。
慎ましやかな切れ込みに細かく爪を出し入れされ、耐えきれなくなった膝が思わず割れて崩れそうになる。


辱めと悦びが同時に与えられる、羞恥に震えた氷見が、懇願するように玄間に縋り付いた。


「だ、ダメっ…もう、こんな悪戯、嫌です…もうやめ…っ、ああッ!あ…ぁ」

「どうした、俺はまだ徳利を呑み始めたばかりだぞ、見ててやるから、もっとコッチも咲かせろよ…」

縋り付く腕をやんわり外され、目の前に杯を突き出されると、再び酌をせざるを得ない。



そうして意地悪く手の自由を奪っては、また性器を弄られ、胸を吸われて…

「どうした、今度は膝がモジモジし出したぜ…正座したまま腰が揺れるってのも見ていて可愛いもんだな、勃ったもんが恥じらうみてぇにフルフル踊んのもイイ眺めだ」

強引に組み敷かれ、貫かれるいつもの情事のほうがまだマシと思える程の、ジリジリを身を焼く羞恥。
同時に襲いかかる激しい快感に、思わず後ろ手を付いて氷見が喘ぐ。


「あ、…あっ、ああっ!…げん、ま…」

「行儀が悪いな、もう正座が出来なくなったのか?乳首が嫌ならもっと、別の所を吸ってやる…後ろを向いてケツを上げろ」

「イヤ…いやです…そんな格好、できな…っ」

早くしろ、と煽られるまま、仕方なしにモジモジと向きを変え、男へ尻を向ける途中で強い腕に引き寄せられる。

恥ずかしさに身が震え、布団に身を伏せると、グイ、と尻肉を左右に分けられ、蕾に指が固定された。

「ったく、手間ぁ掛けさせねぇで、最初っから素直に言うこと聞いとけよ…今夜は、たっぷり可愛がってやる」




ちゅうっ。

ん…

ああ…っ、あ…



吟醸酒の馥郁とした香りが、辺りに噎せる程立ち昇る。


男が首を大きく振ると、唇から零れた酒が狭間を濡らし、クチュクチュとイヤらしい音を立てて氷見を竦み上がらせた。

月明かりの下、秘所を晒していることに耐えきれず、唇を強く噛んで背中の玄間を精一杯睨む。


壮絶な色気が滲む氷見の目の淵は薄赤く染まり、まるで桜の花びらのようだった。


「バカ、ンな目ぇして睨んでも無駄なんだよっ!てめぇ、知ってて…わざとか、クソっ!」


グチュグチュと音を立てる玄間の激しい舌の動きに、尻どころか、身体全体がわななき、ゾクゾクと背中を這い上がる快感に氷見の身体が震え始める。


「お願いです…玄間、もう、もうこれ以上は…壊れて…あっ、あっ、ああっ!」


限界まで焦らされた蕾はいかにも物欲しげにヒクヒクと収縮を繰り返し、舌の先がヌプヌプと浅く出し入れされると、困り果てた氷見が背中を大きく何度も波打たせた。


「はぁっ、はぁ…ああっ、今夜は…どして、こんな意地悪……もうっ…玄間ぁあぁっ!」



愛しい名を呼ぶ言葉尻は掠れ、もう良くは聞き取れない。

触れぬまま昂ぶらされた氷見の男根は限界まで反り返り、支えを失った白い身体が大きくガクガクと揺れる。


それを見た玄間がようやく氷見を抱き起こし、蕩けきった秘孔に激しい抜き差しを開始した。

ズッ、ズッ、と粘膜の擦れる音に、肌のぶつかる恥ずかしい音が混じる。
その間隔が狭まり、煽るように腰を使われて、氷見が耐えきれずヒッ、と小さな悲鳴を上げた。


「バカ、っ…こうして欲しがって欲しがって…我慢してガタガタ揺れてる身体に突っ込むのがたまんねぇんだよっ!」

「ああっ、うぁっ!ああっ……痛っ…玄…間、イタイ、です…」

「痛いか氷見…ホントはもっと酷くされたいんだろう?イヤらしい身体だ…」

「お願いですっ、も、もう達せて、…達かせてくださ…ああっ」

「そんなに簡単にイかせて堪るかよっ!メンテから帰ったお前を気遣って一週間も我慢した埋め合わせはこんなもんじゃ済まねぇぞ」

「あ…っ、玄間、信じられな…中で、また…」

「お前ン中がこれ以上ないくらいみっちり俺のを嵌めて歓んでる、そのヤらしいケツを振って俺をもっと悦ばせろ」

「イヤ…イヤです、玄間…っ、」


…はぁっ、ああ…



霞みみゆく意識の中。
苦しげな男の声が聞こえる。


…言え、言えよ氷見…


…頼む…


胸が、痛てぇんだ…


見上げた玄間の瞳が、心を映して眇められる。

氷見の身体が一瞬強ばり、ついには自分から、激しく揺らいで喘ぎ始めた。



「んんっ、イイ、イイです玄間っ、悦すぎて…イクっ、…イッちゃうっ、あぁあああああっ!」






- - - - - - - -





ふぅっ。

夜風に乗って、薄紫の煙が庭へと流れてゆく。

眠った氷見を起こさぬよう、玄間が顔を背けて、煙草の煙をそっと吐き出した。

腕枕へと目をやると、薄い胸に、背中に、まるで名残の桜木のような赤い花びらが散っている。


「フフ、雷蔵のヤツには大事にしろ、と余計な説教垂れといて、己がこれじゃしょうがねぇ、か…」


深く激しい情交の果て。
泥のような眠りに堕ちた氷見の赤い唇に、チュ、と玄間が口づけをした。



氷見…この世で過ごす最後の夜も、こうして俺のそばにいてくれ…

何が消えて無くなったとしても、俺には「紙」であるお前が残る。


名残の桜、ふたたびの。


お前は…俺だけの見る奇跡だ。





Fin.
[PR]
by apacheoffice | 2011-04-23 00:27 | 他作家様作品での創作
<< GW限定公開!Six Mont... Dear+5月号 是-ze- ... >>